2024.09.18
空音央監督の長編劇映画デビュー作『HAPPYEND』の特別試写会が昨日、東京都内で行われ、空監督のと栗原颯人さん、日高由起刀さんが登壇しました!この日が日本で初めて一般の方々にお披露目する機会だったこともあり、3人は喜びと緊張の両方が入り混じった表情でステージへ。本編を観終えたばかりの観客らからは大きな拍手が贈られました!
【部屋に入って来た瞬間、一目惚れだった】
空監督は「自分や友人の政治性の芽生えによって、互いの関わり方について考えるようになった高校・大学時代の体験をベースにしています。今の自分があるのは友人のおかげ」と本作を作ったきっかけや着想について語り、「友情はとても大事。その大事な関係性に距離を置かなければいけなくなったときの気持ちを込めて映画にしてみたいと思いました」と明かしました。
栗原さんと日高さんは、当時モデル事務所に入ってまだ2か月ほどで、演技は未経験だったが、オーディションに挑戦したのだという。右も左も分からなかった彼らの第一印象として空監督は、「部屋に入って来た瞬間、一目惚れだった」と振り返り、栗原さんは自身が今回演じたユウタという役について「『僕100%に感じた』と、その時も監督に伝えたことを今でも覚えています」と笑顔で語り、日高さんは「祖母に韓国の血が入っているのでルーツという部分で(コウという役に)自分と共通する部分もあり、演じるというより、いかに自分を出せるかを意識していました」と語りました。
一目惚れの時点でかなり心を動かされていた空監督だったが、それだけでなくフィクションで書いたユウタとコウというキャラクターに似た経験や背景を持っていた彼らしかないと感じたんだそう。このふたりだけでなく「メインキャストの5人はほとんど直感。一目惚れで選んだという表現が正しいと思います」と続けました。
【撮影が始まる頃には実際に友情が出来ていた】
しかし、直感でキャスティングしたメインキャストの5人中4人が演技未経験。しかも本作が長編劇映画デビュー作ということで「撮影や編集の経験、短編を手探りで撮ったことはあるけれど、本作を撮るまでは演技の演出についてよく分かっていなかった」と空監督。
そんな時、映画監督の濱口竜介さんに「とにかく俳優たちと信頼関係を築いてリラックスした状態でやるのがいい」というアドバイスをいただいたことが大きかったよう。空監督はクランクインの2か月前からオンラインで週2・3回程度つないで5人で話し、「自己紹介の中に嘘を一つ紛れ込ませてお互いそれを当てる遊びのようなものなど、お互いの距離を縮めあうための練習をし、いつしか5人は自ら一緒に食事に行ったり、空監督の知らぬ間にどんどん関係性を深め、撮影が始まる頃には実際に友情が出来ていたという印象です」と述べました。
【渡辺真起子さん、佐野史郎さんとの共演について】
思春期の高校生ユウタと母親の劇中でのやり取りについて聞かれた栗原さんは「母親役の渡辺真起子さんはとにかくすごい。演技というか佇まいも。実際の母親とも同じようなやりとりをした経験があったので、自分の母親がそこにいるかのような感覚になって実はカットがかかった後に泣いてしまった」と照れながらも明かしました。
日高さんは校長役を演じている佐野史郎さんについて「お会いするまでは勝手なイメージで怖そうと思っていましたが、とてもフラットに関わってくださる方」と表現。佐野さんから「のびのび自分が思ったようにやればいい」というアドバイスをもらったと話した。そこで空監督は、とある場面を撮り終えた後に佐野さんが「彼いいね!」と日高を褒めていたことを嬉しそうな表情で報告。
今回の演出で空監督が心がけていたのは、「フィクションの中の空想上の設定をいかに自分らしくいられるか。それと相手が出してきたものに対してどれだけ正直に反応できるか」。それらは空監督の演出、ベテラン勢のアシスト、もちろん本人たちの頑張りも合わさり、生き生きとスクリーンに映し出されています。
【ヴェネツィアでの反応に感激】
今月2日のヴェネチア国際映画祭でワールドプレミア上映された際は多くの反応に感激した彼ら。
日高はヴェネチアの思い出として「現地の方から直接感想を聞けたことが嬉しかった」「戸惑っちゃうくらいスタンディングオベーションが長かった」と振り返り、続けて「いろんな人いろんな層に共感できる部分がある映画で主演を務められて光栄です」と胸を張りました。
最後に空監督は観客を見渡し「日本での観客第1号になっていただきありがとうございます。長い時間をかけた映画なので公開を迎えることが本当に嬉しいです。10月4日から公開です。よろしゅうお願いします!」と呼びかけ、和やかな雰囲気の中イベントは終了しました。